EAPメンタルヘルス包括サポート導入事例 奄美市
長年職員のメンタルヘルスケアに注力されてきた奄美市役所。総務課内での情報共有を密にし、職員個人への細かな対応、所属部署への組織的対策の両立を重視されていますが、さらに今後メンタル不調の防止にも力を入れていきたいとお考えです。奄美市役所のメンタルヘルスの今とこれからについて、またこころ機構との連携についてお話を伺いました。
Q.現在の日常的な奄美市役所のメンタルヘルスへの取り組みについてお教えください。
課長:当市役所では十数年前から職員のメンタルヘルス対策について、総務課が主体となり対応を行ってきました。年々メンタルヘルスケアの重要性が増していることを感じています。当市役所の対応の特徴は組織内外での連携が緊密であることです。総務課内でも悩みを抱えている一般職員に対して共通の理解を持ち、チームで対応するよう心がけています。
担当:日常の相談業務では、その日の面談について詳細な報告書を迅速に作成・提出し、情報共有しています。その後、職員本人への基本的な対応は担当が、所属部署との組織的な調整などは係長や課長が中心に実施しています。
係長:9年前外部のEAPとして初めてこころ機構と契約を行いました。日頃の職員カウンセリングは勿論、ご家族の問題など総務課ではサポートが難しいケースの対応や、ストレスチェック、こころ機構提供のメンタルヘルスアンケート、オリジナルの職員研修、メンタルヘルス対策の計画や方針立案時の共同参画など、様々な面で連携しています。こころ機構でカウンセリングを受けている職員も多いので、総務課から職員個人への関わり方のアドバイスや所属組織ではどのような点に気をつけるべきかなど、いつも専門家としての具体的な助言が参考になっています。
Q.こころ機構の存在は職員の皆様にとってどのようなものでしょうか。
課長:職員にとって、辛いことがあった時、働くことが嫌だなと感じる時、一人でいるのが不安な時に、LINEなどですぐ相談できる先があるのはありがたいと思っています。
担当:24時間365日LINEや電話で相談ができることは、職員に浸透しています。相談カード(こころ機構相談窓口の連絡先が記載されたカード)を毎年配布しており、おそらく100%の認知度だと思います。最近の若手職員は電話が苦手な人も多いので、LINEだと相談のハードルが低いのかもしれませんね。我々が介入しづらい職員のご家族の悩みに対応してくださることも助かっています。ご家族本人もこころ機構のカウンセリングを受けられることも、職員が安心して前向きに働けることに繋がっていると思います。
係長:職員の悩みが必ずしも職場、仕事に関するものとはかぎりません。総務課に相談できない、知られたくないことでも、次第に悩みが大きくなり仕事に影響が出てきてしまうことも少なくありません。そんなときにこころ機構に相談できる、そんな心強い存在では無いでしょうか。
Q.総務課にとって、こころ機構との契約の意義はどのようなものでしょうか。
係長:まずは身近な専門家がいるという安心感があります。メンタルヘルスの対応は職員が100人いれば100通りだと思います。総務課の私達だけでいつもメンタルヘルスの対応を考えることはとても難しいことですが、迷った時やレアケースに対応する際に専門的かつ客観的視点からアドバイスを頂けるので、判断材料が増え適切な対応につながっていると思います。
担当:また悩みや体調などに不安があるのかも?と「気になる職員」がいた場合、いきなり病院受診を勧めるのはハードルが高い気がしますが、こころ機構が定期訪問に来られる際に「少し話してみない?」ということなら声をかけやすい。その時の面談がきっかけで病院受診につながり、私たち総務課も環境調整を行いご本人が回復されたというケースも経験していますので、職員と病院の橋渡しをする役割もあると感じます。
Q.メンタル不調への予防策について、 奄美市役所ではどのようにお考えでしょうか。また、こころ機構とどのような連携がされていますか。
課長:メンタル不調の予防に関しては、まずストレスチェックで職員一人一人が今健康に働けているのか、または働く上で心身に不安なことがあるのかなど、個々人の状況をできる限り把握することに重要な意味があります。その上で各部署の管理職が、集団分析の結果をしっかり読み解き環境調整に活かす力を身に着けてほしいと感じています。全体と自分達の部署を比較して、どのようなアクションが必要か、しっかりと「自分ごと」として捉えることができるように研修会を通じて伝えています。加えて奄美市役所では職員のメンタルヘルス状況を把握するために、ストレスチェックとは別の時期にこころ機構のメンタルヘルスアンケートを実施しています。今年度はアンケート結果を基に管理職を対象とした研修会を実施し、こころ機構のカウンセラーから奄美市役所の傾向や他との比較を説明していただき、さらにより働きやすい職場環境づくりに向けて普段から取り組めるコミュニケーションやラインケアについてお話ししていただきました。こういった研修の機会を経て私たち管理職がメンタルヘルスの対応力を身につけ普段のコミュニケーションで活かしていくことがメンタル不調を防ぐ上で大切だと感じています。毎年、総務課の方針とアンケートなどの結果をベースに、奄美市役所の実態に則したオリジナルの研修を実施してくださるので、一歩ずつメンタルヘルス対策が進んでいることを実感できています。
担当:メンタルヘルスアンケートやストレスチェック集計後、ストレス度が高いと判断される職員にはこころ機構から電話などでアプローチをお願いしています。職員の中には自分から誰かに相談することに躊躇する方も多くおられます。「何か気になることはありませんか、少しお話ししませんか」と声をかけられたら、もやもやする気持ちや抱えている事を話せる、それだけで少し楽になる。悩みを誰かに話すことで自分一人で抱えている時間を短くすることができる。毎年のメンタルヘルスアンケートやストレスチェックは、小さな悩みを大きな悩みに育てないために重要な予防的役割があるのではと感じています。
係長:職員からの「小さな悩み」の相談が特定の部署で複数発生した場合、部署として何かが起こっているのかもしれません。職員個人は「小さな悩み」と感じていることも、実は部署内部の問題が起因していて組織に対策を行うことで解消されることがあるかもしれない。実際に相談された職員の環境調整や職場全体のカウンセリングなど現実的な組織改革の対応をこころ機構と行なうこともあります。兆候を見逃さずその時々でできる限りの対策を講じていく、そしてそれを継続していく。それがメンタル不調の予防に向けた第一歩ではないかと私は思います。
Q.今後のメンタルヘルス業務についての展望、お考えをお聞かせください。
担当:長い仕事人生では心に好調、不調の波があって当然だと思っています。少しでも波が小さいうちに気付いて予防できること、時には誰かの手を借りながら自分をケアしていくことが大切だということを職員一人一人に知ってほしい。そのために、職員が予防についての知識やヒントを得られるような機会を増やしていきたい。今後も、こころ機構からアイデアを貰い、共に取り組みを加速させていたいと考えています。
係長:悩みを抱える職員をサポートしながら、その人の周りにいる職員、所属する組織も支える、個人への対応と組織支援の両輪が必要です。当然のことですが、人間関係が良い職場は働きやすい。そんな職場作りを目指し、研修などを通じ、私たち管理職の資質向上や全体の底上げを図りたいと思います。
課長:総務課に来て改めてメンタルヘルスの実情を知り、一人でも辛い職員が減るように総務課に何ができるのかを考えて続けています。健やかに働き続けられる職場作りに向けて、奄美市役所の特徴でもある部署内外のつながりの密さを活かし、総務課がチームとなって所属部署や外部資源であるこころ機構とともに職員にきめ細かいサポートを行なっていくこと。職場のメンタルヘルス対策にとって欠かすことのできない「連携」を大切にしていきたいと思います。
弊社代表神薗が奄美市長を表敬訪問しました。
安田市長はかねてよりメンタルヘルスケアの重要性について注目されており、普段から多くの職員と直接コミュニケーションを取ることを重視しておられると伺いました。神薗とは奄美市役所のメンタルヘルスケアの特徴や今後について、また具体的にどのような会話や質問が交流を活発にするかなど意見交換を行いました。